耕作放棄地の棚田再生 米つくってみる#1苗床をつくる

昨年末から耕作放棄地の崩れた棚田を再生すべく、草木を刈り倒し続けて5ヶ月が過ぎた。
月に数日、数時間程度。全作業日数は15日、約2週間。全作業時間は、約45時間。
無造作に切り倒しただけではあるが、オタマジャクシやアメンボなど水辺の生き物がやってきて、田んぼらしくなってきた。
いよいよ、自然農たのしい米作りを始めてみる。
やや弱気なのは、種籾がおととしの残りだからである。
発芽するかどうかは、自然まかせ。

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苗床をつくる場所を選ぶ

苗床づくりは、米作りの大切な作業。
4月下旬から5月中旬ごろ、晴れて土が乾いている日につくる。
苗床をつくる場所は、田んぼの環境によって変わってくる。
慣行農法でよく見られる水田であれば、田植え専用の容器に土を入れ籾を蒔く。
自然農でよくつくられている苗床は、田んぼの一角に溝きりをして、草を刈る。そして、土を平らに鎮圧して籾を蒔く。
このやり方は、田んぼに水が入っていない状態で行う。
お山の棚田は、すでに自然の山水が流れ込んでいて、田んぼの一角につくるというわけにいかない。
そこで、なるべく田植えをする範囲に近い場所に、溝きりはせず作ることにした。
大きな草が生えておらず、なるべく平坦な場所を選んだ。

苗床をつくる

1.草を刈る
土の表面には、これから発芽する夏草の種が落ちている。
根っこから引き抜くと、表土よりも下に夏草の種が混じってしまい、草の種が発芽して、苗が草の成長に負けてしまう。
だから、根っこより上をザッと刈る。
刈った草は、細長いものを籾を巻き終わったら苗床にかぶせる。
葉っぱが大きい物や平べったいものは土に張り付いて覆ってしまい、発芽の妨げになるため取り除いておく。

2.表土を削る
鍬で土の表面を削り取っていく。
薄く薄く削り取って、苗床の端に寄せて盛り上げておく。

3.鍬で土をほぐす
固い土や塊は、鍬の背を使って、たたいてほぐす。
数センチほど鍬を入れてみたが、宿根草の根がはびこって引っかかる。
10センチ以上鍬で掘り起こし、鍬を立てて入れて根を細かく切っていく。

4.鎌で根切りする
鍬で切った宿根草の根を鎌で取り除いていく。

鎌を土に入れて、ザクザクと引いていくと、大きな根も小さな根も鎌に引っかかって取り除くことができる。

何も引っかからなくなるまで、何度も鎌を引く。

5.土を鎮圧する
土を平らにならし、鍬で鎮圧する。
このとき、鍬と柄の接続部に突起があると、鎮圧するときに土の表面がデコボコになってしまう。
なるべく平らなほうがいい。
最後の仕上げに、私は自分の手のひらでトントンと鎮圧する。

種籾をまく

鎮圧した土の上に種籾を蒔いていく。
種籾を軽く片手で握って、指先からパラパラと揺するようにこぼしていく。
なかなか均一には蒔けないので、くっついている種籾の間隔をひとつひとつ指で空ける。

種籾を見つめていると、その一粒から何倍もの米粒ができることが奇跡にしか思えない。

苗床の仕上げ

1.覆土する
他の場所の土を掘り起こし、草の種が混じっていない下の方の土を覆土にする。
乾いている土がいい。
土を手でほぐすように上からパラパラとかぶせていく。
種籾が見えなくなるまで、均一にかぶせていく。
この土の量は、思っているより多量に必要。
隠しきれない種籾は、指で土をかぶせちゃった。

2.鎮圧する
鍬で軽く押さえて鎮圧する。
私が使っている鍬は突起があるため、そ~っと手で鎮圧する。
土が湿っているときは、土と一緒に種籾が鍬や手に付いてしまうので、草をかぶせてから鎮圧するとうまくいく。

3.草をかぶせる
青草を短めに刈って、かぶせる。

発芽まで水やりをしないため、青草をつかうことによって、発芽までの水分を補う。
そして、保温の役割もある。

4.鳥よけの糸を張る
種籾は鳥の好物。
食べられないように、鳥よけの糸を張る。

枯れ枝や笹を渡しておくのもいい。
自然のものを使えば、すべて土に還る。

面積は、約50センチ×100センチ。
ここまで、作業時間は1時間程度。
慣れている人は、もっと速くできる。

数日後、苗床の様子を見に行くと、鳥よけの糸がグチャグチャになっていた。
無残な姿になってしまった苗床・・・

動物の足跡。

鳥の羽が散乱。

作り直した苗床には、トゲのあるノイバラの枯れ枝を渡しておいた。
これは、なかなかいい。
ノイバラの枯れ枝なら、たくさんある。

鳥が食べるほどおいしいおととしの種籾だけど、食べられちゃって残っていないかも。
発芽するのかな。

しないかも。