耕作放棄地の崩れた棚田をそのままで再生してみる#3崖の下の崩れた石積み

棚田は台風による大雨で石積みがところどころ崩れている。
草木と笹藪、竹にみっしりと覆われていて、どこがどんなふうに崩れているのか、まったく見えない。
よくわからないまま、刈り進めていくしかない。
崩れた崖になっているところを上から見下ろしてみる。
まだまだ陽当たりが狭いかな。
夏になったら、葉がもっと生い茂る。
もっと奥まで、石積みまで、刈ることにしよう。

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ノイバラの道 全然作業がはかどらない

ザックリ刈った場所をもっと奥へ刈り進めていく。
どこから刈ろうかとしばらく眺めて、崖っぷちから垂れ下がっている竹の葉を切り落としていく。

だいたい切り落としたら、今度は笹を下から地際で刈っていく。
石積みが見えてきた。

途中から、斜面の土とともに上から崩れている。
この奥はどうなっているのか知りたくて、ここでもノイバラに刺されながら進んでいく。
野いばらはやっぱり最強で全然作業がはかどらない。
さっきから、同じところばかり刈っている。
いばらの道かあ。
それでも、腰をのばして見上げると、空は広がっていた。

寒そうな曇り空だけれども。

棚田の土 感触を味わう

刈り取って積んでおいた草木や笹、竹を片づけてみると、ポッカと野性あふれる空間ができた。

いやいや、ちょっと不気味か。

すぐ近くまで、水が流れている。

冬場は水量が少なくなるのだが、12月にこれくらいならば稲の生育期には水が増しているはず。
自然の源泉かけ流しになるか、期待だけは高まる。

枯れ葉の落ち具合がいい感じ。
微生物がたくさん潜んでいそう。

足を降ろしてみる。
ズブズブとゆっくり沈んでゆく。

田んぼだ。間違いなく田んぼだ。
とろ~っとして、ぬめ~っとして。

このままで、じゅうぶんだ。
余計なことは、したくない。

私は開墾が楽しい

棚田の開墾作業3日目。
曇っている。作業中の日中気温4~10度。
本日の作業時間は午前10時半から午後1時半までの3時間程度。
棚田の輪郭が見えてくると、もうちょっと、もうちょっと、ひるむことなく、どんどん刈り進めてしまう。

寒くても、おかまいなしだ。気にもならない。
そう、私は開墾が楽しい。
もうどうにもならないと放ったらかしにされているものに、ほんの少し手を差し出す。
そうすると、変化していく景色がおもしろいのかもしれない。
農家でもなく、棚田再生の専門家でもない。
知識も技術もまったくない。
ただ自分が好きで直感だけで思うようにやって楽しんでいるだけだ。

それ、本当に楽しいの?
棚田を本気で再生したいと思っている方には、まったく理解できないだろうと思う。

それ、何のためにやっているの?
理由なんてなくて、ただやりたいからやっている。
これもまた、理解できないだろうと思う。

手作業で。
使う道具は、ボロボロのノコギリ鎌と小さなノコギリだけで。

山の中にポツンと小さな棚田があったら、自然と繋がっているみたいで、イノチがキボウが湧き出て、あふれそうな気がする。

バカでアホみたいだけど、おもしろいんだな。