耕作放棄地の崩れた棚田をそのままで再生してみる#6イノシシに見つかった!

冬季、主に12月から3月は、お山の畑は農作業においては閑期になる。
その間、何をしているのかというと、開墾と畑周辺の整備である。
お山の畑はまあまあ広くて、ほとんど耕作放棄地のまま。
月に数日の作業でできることは限られている。
だからこそ、手間をかけるのではなく、むしろ手をかけすぎないこと。
ここが、楽しむコツかなと思う。

都市で勤めをしながら、都市周辺の田舎で自分が食べる野菜をつくる。
仕事を辞めて田舎へ移住するのは、なかなか大変なことも多くて実現できていない。
都市から車で1時間以内の田舎であれば、自然の中で過ごす時間を持つことができる。
その仕組みを作るのは誰でも簡単にできるとは言えないが、いろいろ試行錯誤して、今のカタチに落ち着いてきた。

開墾って、おもしろいんですよ。
続けている理由は、それだけに尽きる。

イノシシが土を掘り起こして、畑が穴だらけになっていますが。
さ、棚田に行ってみようっと。

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イノシシに見つかった!再生中の棚田に痕跡あり

畑周辺の整備をしつつ、ちょこちょこと棚田の再生をしている。
草刈りや畝の整理とか、そんなことはまったくしていなくて、
畑周辺の整備とはイノシシが掘った穴をひたすら埋め戻す作業である。

ルーティンワークとなっている穴埋めを終わらせ、
さあ、今日も開墾だ!と、棚田へ。

どうも、変だ。
あたりの草木がなんとなく、どうもなんとなく傾きが乱雑な感じがしている。
何かが通った?

用心深く、頭を下に向けて地面を観察する。
土をえぐりとったような痕。痕。痕。

イノシシだろうな。
見つかったな~
泥遊び、それとも鼻先を突っ込んで獲物を捕らえたか。

対策は、もちろんない。やってもいないけど。

農業用シートの撤去とゴミ拾い

数年前に台風による大雨で、棚田の石垣は崩れてしまっている。
耕作放棄地になって、置きっ放しになっていた農業用シートが大雨で棚田に流れ落ちている。
撤去もできず、そのままになってしまっていた。

シートを突き破って、木や笹竹が伸びている。
このシートの下には、だいたい無数の虫が潜んでいる。
シートの破片が土壌にくい込んでいることを気がかりに思うかもしれないが、
むしろ土は肥えているのではないかと考えている。
土の色、枯れ葉や草が朽ちた匂い、そして虫。
これって、何年もの間に堆肥になっているような気がする。

そんな理由で、そのままにしていたが、
笹竹を刈るときに破れて細かく切れてしまうため、やはり撤去することにした。
これは、思ったより大変な作業になった。
シートから何本も木や笹竹が突き抜けて、なかなか取れない。
シートをめくるたびに、何かの虫が飛び出て、おでこをかすめていく。
それでもまあ、ほとんど取り除くことができた。
もう少し残っているが、あと数日ですべて撤去できるだろう。

どこからやってきたのか、ペットボトルや空き缶なども転がっているが、
ゴミは拾って、持ち帰って処分している。

自然に朽ちるまで待つ、伐採した竹の山

始めに考えていた範囲よりも2倍程度、棚田の再生をすることにした。
冬と夏では、葉の茂り具合が全く異なる。
日照時間と日があたる範囲を考えて、棚田よりも外側まで伐採した。
したがって、伐採した竹や木の量は、自分の背丈を超える高さとなり、
これは何年かかって朽ちるのかと少しばかり杞憂している。
燃やして灰にすれば、畑に撒けるのだが、お山の畑では燃やすことはしない。
自然に朽ちるのを待っている。

小鳥の遊び場になっているみたい。
楽しそうに竹の山をちょんちょんと。

耕作放棄地の棚田再生 切り倒した竹に小鳥ちょんちょんと

田植えまで、苗を植える場所には竹を放置している。
大きな草が生えるのをおさえておきたい。

暖かくなると、山草の勢いというのは街の道端の雑草と比べると、その何十倍もの勢いを増す。
できるだけ直前まで土の上にかぶせておく。
取り除いたあとに草の芽を削ろうと考えてはいるけれど、そこはいつもどおり、気の向くままに。

完璧を求めない棚田の全景

なかなか野性感あふれる棚田になっている。
笹も竹もザク刈り。
石積みは崩れたまま。
草木は取り切れずに残っている。
きちんと手入れされた、のどかな田園風景とは、ほど遠い。

完璧を求めても、完成しない。
完成したなんて思っていると、ガツンと裏切られる。
むしろ、想像を超えるおもしろさが起きる。

ぐるりとあたりを見まわして、足元の草をながめて、空を見上げて。
どこか、ほっとするのは、なぜなのか?

あ、種籾を準備するのを忘れていた。
昨年は、米をつくらなかったのだった。
まあ、いいか。
納屋の稲わらに残った何十年も前の籾が発芽することもあるくらいだから、
おととしの種籾の残りでも蒔いてみようかな。
発芽しなかったら、また来年、気の向くままにやってみればいい。
これからどうなるかなんて、わからない。
いつだって、何が起きるかなんて、予測できないのだから。