【八十八夜】お山の茶摘み 山に自生するお茶で一番茶をつくる

春から夏へ移り変わる節目の日、八十八夜。
お山を彩る若葉がそよ風に揺られて、気持ちよさそう。

茶摘み日和です。

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お茶の木を見つけに山を歩く

お山の畑には茶畑はありません。

「お茶の木はなあ、昔はどこの家でも植えとったんじゃけえ。
そこらへんに生えとろう。種がぎょうさん落ちるけえ。」

おばあちゃんがお茶の木を教えてくれるのですが、似たような葉っぱの木との見分けがつかない。

「これ、お茶の木?」と聞きながら、山を歩く。

あちらこちらに点在する野性のお茶。
見過ごしてしまいます。
一度通り過ぎた場所を戻っていくと、今度はお茶の木と気づく。

日陰で静かにたたずむ茶木

日陰で湿気のある場所に生えていることが多いようですが、よく日があたる場所にも生えています。

道端に草のように。
梅や柿の木の下に。
母屋の周りに。
山の斜面や石垣に沿うように。

山の斜面で芽吹く茶木

香りを嗅いでみても、お茶の香りはしない。

葉っぱの上に花が咲いている

お茶の木を探して歩いていると、不思議な木を見つけました。
葉っぱの上に花が咲く”ハナイカダ(花筏)”という植物です。

満開のハナイカダ

日陰と湿気のある場所を好むようです。
お茶の木の隣に生えていました。育つ環境が似てるんですね。

私の背丈より見上げるくらいなので、高さは2メートルほどでしょうか。

4月から5月にかけて若葉に花が咲き、花が咲いた後には実をつけるらしい。

ハナイカダの花

春の終わりに、おみやげを置いていったのかも。

花の蜜に寄ってきたのか、葉の上に蟻がいました。
筏に蟻が乗っているみたいに見えます。

自然の神秘に触れながら、隣のお茶の木から新芽を摘む。

新芽二葉を摘む

「新芽二葉がええお茶になるけえ」
お山の畑では、さきっちょにちょこんとある小さな新芽二葉が最高級の茶葉になるらしい。

若葉色の新芽

ぷちん、ぷちん。
指先に小さな命の存在を感じていると、無心になります。

新芽二葉を摘む

この、まだ開ききっていない一葉、マイクロ茶葉に旨味も甘味もぎゅっと詰まっている。

4月下旬~5月は一番茶。
6月~7月上旬は二番茶。
7月下旬~8月は三番茶。

お山の畑は山間部にあります。
寒暖差があるためか、長く新芽のお茶摘みが楽しめます。
自然のお山の恵みをいただきます。

初摘み 一番茶の作り方

「昔は、どこの家もじぶんとこでお茶つくりょうた」
おばあちゃんに自家製茶の作り方を教わりました。

・洗わない、揉まない。
・摘んだ芽をそのまま弱火で煎る。
 煎る前に蓋をして、少し蒸してもよい。

5分ほど煎ると、お茶の香りがしてきました。
焦げないように混ぜながら、じっくりゆっくり煎り続けます。

20分ほど煎ると水分がなくなり、カラカラになりました。
(煎る時間は、茶葉の量や水分含有量で変わります。)
煎り加減は、好みでよいようです。

おうちの中がお茶の香りでいっぱい。

縁起物 一番茶をいただく

できたての一番茶を湯飲みに入れて、お湯を注ぎます。
さわやかな香りに包まれながら、
茶葉の開いてゆく様子を見ていると心が落ち着きます。

茶葉が開いたら取り出してみると、うっすらと緑がかっています。
自然のお茶は、色は濃くなく、透きとおっていました。

いただいてみましょう。

おいしい。
飲んだ瞬間に、濃い香りと甘みが広がっていきます。

何度かつくって飲み比べてみると、
日当たりのよいところに生えている茶木の新芽でつくるお茶に旨味がありますね。

八十八夜に摘むお茶は不老長寿の縁起物と言われています。
この一年を災いなく無事に過ごせますように。